2013年5月15日水曜日

森と湖の国フィンランド・デザイン展@大阪市立東洋陶磁美術館



7月28日まで大阪・中之島の大阪市立東洋陶磁美術館で開催されている『森と湖の国フィンランド・デザイン展』を観てきた。週末で、しかも川沿いのイベント客の流入もあってか、ルーシー・リー展の時ほどではないにせよ、わりと混雑していた。

その混雑を一瞬にして忘れさせるほどの、クリアで、静謐で、凛としたガラス器の数々。今回、フィンランド・デザインから感じられる心意気の背景を読み解くことができたのが大きな収穫かもしれない。

展覧会の紹介文に分かりやすくまとめられているので、以下抜粋↓

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フィンランドは、長くスウェーデンとロシアの支配下にあり、フィンランドで独自のデザインが誕生したのはロ シア帝国からの独立を果たした1917年以降になります。独立後の数十年間にインテリア・デザイナーによってその原型が作られ、第二次世界大戦後の復興期 に「黄金時代」といわれる奇跡的な発展を遂げました。そこに見られるのは、豊かな自然と独自の文化からとった文様を、様々な素材に応用したことでした。 フィンランドの美しい自然と風土は、デザイナーにとって創作の糧となり作品の色や形に溶け込み、また彼らの民族叙事詩である『カレワラ』からは浪漫主義が 加えられたのです。

彼らのデザインは、陶磁器やガラスなどの一部門にとどまらず生活全般にわたり、 "timeless design product(時代を超えた製品)"という考えから、生活用品にも洗練されたデザインを求めました。それは、冬の厳しい寒さと短い日照時間のため、室内 で過ごす時間が多いフィンランドの人々にとって、日常の生活空間が重要でしたが、そこに求めたものは物質的なものではなく精神的な豊かさだったからで す。"

フィンランド・デザインの良心"と謳われたカイ・フランク(Kaj Franck、1911-1989)は、初めは家具と染織のデザインを手がけていましたが、後に陶磁器のアラビア社のアート・ディレクターとしてテーブ ル・ウェアの改革をおこし、イッタラ社でガラスも手掛けました。こうしたデザインの全体性は、フィンランド・デザインの特徴となっています。他にも建築だ けではなく、ライフスタイルもデザインしたアイノ&アルヴァル・アールト夫妻(Aaino & Alvar Aalto、1894-1949、1898-1976)などの優れたデザイナーを多く輩出し、特に1950年代から国際的な評価を得て、現在に至ります。

本展は、このようなフィンランド・デザインの魅力を、18世紀後半から現代に至るガラスと陶磁器約150件を中心にご紹介いたします。森と湖の国のデザインが繰り広げる世界をお楽しみください。

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自分にとってフィンランドは、スペインに次いで過去に縁のあった国。青白く燃える火山のような、一種独特の情熱を秘めた彼の地の人々を思い出す。

大阪市立東洋陶磁美術館:http://www.moco.or.jp/index.php

2013年5月7日火曜日

ラン・ファットボーイ・ラン~hulu日記~

 


以前にも書いたように、huluに加入して以来、時間の許す限りせっせと映画や海外テレビ番組を観ているわけだが、何をどんなに観ても無料、しかも毎週どんどん作品が増えていくというのは奇妙な感覚をもたらす。

これらの作品一つ撮るのに一体どれだけの労力や時間がかかっているのか。そしてそこに詰まっている膨大な情報や複雑なストーリーを、まるで水道の蛇口をひねって水を飲むように、簡単に、かつ瞬間的に消費する。消費されたものは、どこへ行くのだろう?自分の中のブラックホール?

ともあれ、最近観た中では2007年のイギリス映画『ラン・ファットボーイ・ラン~走れメタボ~』、テレビ番組では同じく英BBCの『マイティ・ブーシュ』や米HBOとの共同制作の『ROME』がよかったhuluに並ぶ作品は日本未公開のものが多く、月額980円という安さに見合った選択肢しかないのだが、そんな中から秀作発見するのは映画ファンにとっては一種の宝探しのような作業でもある