2013年6月17日月曜日

ふたりのイームズ、あるいは夫婦の問題





































































やっとのことで映画館で映画を観ることができた。映画館に足を運ぶヒマが無いなんて、絶対何かが間違っている。

セレクトしたのは 『ふたりのイームズ:建築家チャールズと画家レイ』@シネ・リーブル梅田。京都の大丸ミュージアムで『チャールズ&レイ・イームズ』展を観て、いたく感銘を受けたのは、たしか2005年だったと思う。あれから8年。今回の映画はそれとはかなり違う面からイームズ夫妻をドキュメントしたものと言える。

いまだに人気の高い「イームズ・デザイン」が夫妻の共同制作であることはよく知られている。夫チャールズが建築畑出身であることも。しかし、レイが画家を目指す若い美大生だった時、当時妻子持ちだった彼と不倫の末、略奪婚したことなど知るよしもなかった。

その後、完璧なパートナーシップで公私ともに順風満帆な日々が過ぎた。やがてマルチメディア時代が幕を開け、チャールズが冴えわたる一方で、レイが様々な分野で取り残されるまでは。そして彼がまた別の若い未婚女性に手を出すまでは。

印象的だったのは、チャールズの突然の死からほどなくして撮られた一枚の写真。デザイン事務所のスタッフが皆悲しげな表情を浮かべているのに対し、リーダーに返り咲いたレイが満面の笑顔を浮かべている。

夫婦であると同時に、共同制作者であり、それぞれ独立したクリエイターでもあったチャールズとレイ。シリアスなヒューマン・ドラマでも観たかのような後味が残った。

映画『ふたりのイームズ:建築家チャールズと画家レイ』公式サイト:
http://www.uplink.co.jp/eames/

2013年6月1日土曜日

エロスと幽霊と超高齢化社会




先日は友人でペン画&銅版画家のミズタニカエコ氏の案内で大阪・南森町のギャラリーびー玉を訪れ、オーナーにKAKi作品のサンプルをお見せしたところ、夏に予定している「ファーブル展」や「エロス展」に参加しないかとお声をかけてくださったので、二つ目の方に「kaki noir」のエロ・バージョンを出そうかと思っている。

ギャラリーを出た後は、近くにある女史の行きつけの洋風居酒屋WAVEさんで酒盛りをした。センスのよい料理に舌鼓を打ちながらワインを3本空け、最後の方はシェフやおかみさんも加わって幽霊話。終電さえなければ、自分はどこまでも行けるような気がした(終電があってよかった)。

話は変わるが、本業の翻訳ではここ数年、手がける案件の9割以上は英訳である。中でも自分が専門とする高齢者医療、リハビリテーション、看護学の分野で海外への報告が増えてきているのがうれしい。以前は日本の社会システムや生活スタイルの影響を強く受けるこれらの分野では、独自のアプローチ(例えば医療制度や畳の上での起き上がり方法など)が海外に応用されにくいこともあって、報告はおもに国内向けであり、その結果英訳案件も少なかった。


ところがこの国が超・高齢化社会という未知の領域を突っ走り、北欧や北米といった元祖医療先進国とは事情を異にするパイオニアとなった今、そこから発信されるメッセージへの注目度は高い。

ただ、その注目の意味はというと、ある風変わりな小国の数奇な運命の果てをただ興味深く見守っているだけという気もして、手放しでは喜べないイタさがこの国にはある。

ギャラリーびー玉:http://www2.odn.ne.jp/bi-damas/
洋風居酒屋WAVEのブログ:http://ameblo.jp/wave-izakaya/