2017年9月7日木曜日

翻訳者としての略歴


◇略歴

北村由夏/医学・医療翻訳者

大学在籍中渡欧、現地で語学を学び、1990年より翻訳・通訳業開始。帰国後、商社に入社し、海外営業を担当する一方で、副業として翻訳・通訳業を続ける。翻訳学校で医薬翻訳および時事翻訳を学び、2007年に医療従事者の免許取得。2010年よりフリーランスにて医学・医療翻訳を専業とする。専門分野はリハビリテーション、高齢者医療、精神医学、整形、脳神経、看護など。

Yuka Kitamura / medical translator

Her 28 years' career started in 1990 when she was living in Europe, and it was highlighted by some interesting translation projects, such as the world's first broadcast abroad of a famous Japanese manga series “Doraemon”. While being engaged in overseas management for a Japanese import company after returning to Japan, she studied medical and journalistic translations from 2000, and passed a licensure exam for occupational therapists in 2007. Currently, she is engaged in full-time freelance translation, specializing in rehabilitation medicine, neurology, and psychology.



2013年9月22日日曜日

大宮エリー個展「愛の儀式」@中之島デザインミュージアム




ホームページを一新したインテリア・デザイナーのh design worksさんに連れられ、中之島デザインミュージアムで開催中の大宮エリー個展「愛の儀式 赤の部屋 青の部屋 緑の部屋」に出かけてきた。

昨年、巡回展「思いを伝えるということ」in京都・西陣の際に、ランチに寄った「空まめ」さんでKAKiのアクセサリーを何点もお買い上げくださったと聞いて以来、私は大宮さんのファンである。

「愛の儀式」は体験型インスタレーションで、それぞれの部屋が大宮さんの詩を中心に展開していた。赤は大地、青は海、緑は森。

「人と自然が結びつき、大地に宇宙に、日々の営みを感謝する。それが儀式の特徴でもあるかと。(大宮さんの挨拶文より)」

詩はスピリチュアルで率直な問いかけに満ち、心の奥底に響いた。ただ残念ながら、詩は全く持ち帰ることができなかった。また、自作の壁画はやや雑さが目立ち、いっそ照明だけで異空間を創り出した方がよかったのでは、とh designさんと話し合ったりもした。

それにしても―――自分よりもずっと年下なのに、こんなにしっかりと善なるコンセプトを確立し、人に働きかけることができるなんて。

鑑賞後は床に藁の敷き詰められた「緑の儀式の部屋」でゆっくりお茶をし、暗くなる前に帰宅の途についた。

h design works:
http://h-designworks.com/home/

大宮エリーOFFICIAL WEBSITE:
http://ellie-office.com/

季節の台所 空まめ:
https://plus.google.com/117335539236864219449/about?gl=jp&hl=ja

2013年8月21日水曜日

堂島リバービエンナーレ2013「Little Water」




今年のお盆は1日休んだだけで、あとは普段通り仕事し、KAKi作品展の準備をしたり、夜はビール片手にAppleTVで映画を観たりした。

15日のオフ日を待って、午前中から閉幕間際の堂島リバービエンナーレ2013「Little Water」に出かけ、たっぷりとしたスペースで各国のアーティストの作品に触れた。

一番感銘を受けたのが、石田尚志の「海の壁」。それからユェン・グァンミンの「消えゆく風景-経過II」とウィリアム・ケントリッジの「潮汐表」。とにかくクオリティが高い。

ところでこの、「水の意味を問う」ことをテーマにつけられた「Little Water」というタイトルについて、どこにも説明されていなかったことが少し気になった。そのまま訳すと「ほとんど無いにひとしい水」、あるいは「小さな、かわいらしい水」となる。実際、ウォッカはロシア語で「little water」を意味する。「このステキな水」「魔法の水」のような感じか。

その晩、自分達もジョッキいっぱいの泡立つ「little water」を手に、水の意味を問うた。

2013年6月17日月曜日

ふたりのイームズ、あるいは夫婦の問題





































































やっとのことで映画館で映画を観ることができた。映画館に足を運ぶヒマが無いなんて、絶対何かが間違っている。

セレクトしたのは 『ふたりのイームズ:建築家チャールズと画家レイ』@シネ・リーブル梅田。京都の大丸ミュージアムで『チャールズ&レイ・イームズ』展を観て、いたく感銘を受けたのは、たしか2005年だったと思う。あれから8年。今回の映画はそれとはかなり違う面からイームズ夫妻をドキュメントしたものと言える。

いまだに人気の高い「イームズ・デザイン」が夫妻の共同制作であることはよく知られている。夫チャールズが建築畑出身であることも。しかし、レイが画家を目指す若い美大生だった時、当時妻子持ちだった彼と不倫の末、略奪婚したことなど知るよしもなかった。

その後、完璧なパートナーシップで公私ともに順風満帆な日々が過ぎた。やがてマルチメディア時代が幕を開け、チャールズが冴えわたる一方で、レイが様々な分野で取り残されるまでは。そして彼がまた別の若い未婚女性に手を出すまでは。

印象的だったのは、チャールズの突然の死からほどなくして撮られた一枚の写真。デザイン事務所のスタッフが皆悲しげな表情を浮かべているのに対し、リーダーに返り咲いたレイが満面の笑顔を浮かべている。

夫婦であると同時に、共同制作者であり、それぞれ独立したクリエイターでもあったチャールズとレイ。シリアスなヒューマン・ドラマでも観たかのような後味が残った。

映画『ふたりのイームズ:建築家チャールズと画家レイ』公式サイト:
http://www.uplink.co.jp/eames/

2013年6月1日土曜日

エロスと幽霊と超高齢化社会




先日は友人でペン画&銅版画家のミズタニカエコ氏の案内で大阪・南森町のギャラリーびー玉を訪れ、オーナーにKAKi作品のサンプルをお見せしたところ、夏に予定している「ファーブル展」や「エロス展」に参加しないかとお声をかけてくださったので、二つ目の方に「kaki noir」のエロ・バージョンを出そうかと思っている。

ギャラリーを出た後は、近くにある女史の行きつけの洋風居酒屋WAVEさんで酒盛りをした。センスのよい料理に舌鼓を打ちながらワインを3本空け、最後の方はシェフやおかみさんも加わって幽霊話。終電さえなければ、自分はどこまでも行けるような気がした(終電があってよかった)。

話は変わるが、本業の翻訳ではここ数年、手がける案件の9割以上は英訳である。中でも自分が専門とする高齢者医療、リハビリテーション、看護学の分野で海外への報告が増えてきているのがうれしい。以前は日本の社会システムや生活スタイルの影響を強く受けるこれらの分野では、独自のアプローチ(例えば医療制度や畳の上での起き上がり方法など)が海外に応用されにくいこともあって、報告はおもに国内向けであり、その結果英訳案件も少なかった。


ところがこの国が超・高齢化社会という未知の領域を突っ走り、北欧や北米といった元祖医療先進国とは事情を異にするパイオニアとなった今、そこから発信されるメッセージへの注目度は高い。

ただ、その注目の意味はというと、ある風変わりな小国の数奇な運命の果てをただ興味深く見守っているだけという気もして、手放しでは喜べないイタさがこの国にはある。

ギャラリーびー玉:http://www2.odn.ne.jp/bi-damas/
洋風居酒屋WAVEのブログ:http://ameblo.jp/wave-izakaya/

2013年5月15日水曜日

森と湖の国フィンランド・デザイン展@大阪市立東洋陶磁美術館



7月28日まで大阪・中之島の大阪市立東洋陶磁美術館で開催されている『森と湖の国フィンランド・デザイン展』を観てきた。週末で、しかも川沿いのイベント客の流入もあってか、ルーシー・リー展の時ほどではないにせよ、わりと混雑していた。

その混雑を一瞬にして忘れさせるほどの、クリアで、静謐で、凛としたガラス器の数々。今回、フィンランド・デザインから感じられる心意気の背景を読み解くことができたのが大きな収穫かもしれない。

展覧会の紹介文に分かりやすくまとめられているので、以下抜粋↓

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フィンランドは、長くスウェーデンとロシアの支配下にあり、フィンランドで独自のデザインが誕生したのはロ シア帝国からの独立を果たした1917年以降になります。独立後の数十年間にインテリア・デザイナーによってその原型が作られ、第二次世界大戦後の復興期 に「黄金時代」といわれる奇跡的な発展を遂げました。そこに見られるのは、豊かな自然と独自の文化からとった文様を、様々な素材に応用したことでした。 フィンランドの美しい自然と風土は、デザイナーにとって創作の糧となり作品の色や形に溶け込み、また彼らの民族叙事詩である『カレワラ』からは浪漫主義が 加えられたのです。

彼らのデザインは、陶磁器やガラスなどの一部門にとどまらず生活全般にわたり、 "timeless design product(時代を超えた製品)"という考えから、生活用品にも洗練されたデザインを求めました。それは、冬の厳しい寒さと短い日照時間のため、室内 で過ごす時間が多いフィンランドの人々にとって、日常の生活空間が重要でしたが、そこに求めたものは物質的なものではなく精神的な豊かさだったからで す。"

フィンランド・デザインの良心"と謳われたカイ・フランク(Kaj Franck、1911-1989)は、初めは家具と染織のデザインを手がけていましたが、後に陶磁器のアラビア社のアート・ディレクターとしてテーブ ル・ウェアの改革をおこし、イッタラ社でガラスも手掛けました。こうしたデザインの全体性は、フィンランド・デザインの特徴となっています。他にも建築だ けではなく、ライフスタイルもデザインしたアイノ&アルヴァル・アールト夫妻(Aaino & Alvar Aalto、1894-1949、1898-1976)などの優れたデザイナーを多く輩出し、特に1950年代から国際的な評価を得て、現在に至ります。

本展は、このようなフィンランド・デザインの魅力を、18世紀後半から現代に至るガラスと陶磁器約150件を中心にご紹介いたします。森と湖の国のデザインが繰り広げる世界をお楽しみください。

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自分にとってフィンランドは、スペインに次いで過去に縁のあった国。青白く燃える火山のような、一種独特の情熱を秘めた彼の地の人々を思い出す。

大阪市立東洋陶磁美術館:http://www.moco.or.jp/index.php

2013年5月7日火曜日

ラン・ファットボーイ・ラン~hulu日記~

 


以前にも書いたように、huluに加入して以来、時間の許す限りせっせと映画や海外テレビ番組を観ているわけだが、何をどんなに観ても無料、しかも毎週どんどん作品が増えていくというのは奇妙な感覚をもたらす。

これらの作品一つ撮るのに一体どれだけの労力や時間がかかっているのか。そしてそこに詰まっている膨大な情報や複雑なストーリーを、まるで水道の蛇口をひねって水を飲むように、簡単に、かつ瞬間的に消費する。消費されたものは、どこへ行くのだろう?自分の中のブラックホール?

ともあれ、最近観た中では2007年のイギリス映画『ラン・ファットボーイ・ラン~走れメタボ~』、テレビ番組では同じく英BBCの『マイティ・ブーシュ』や米HBOとの共同制作の『ROME』がよかったhuluに並ぶ作品は日本未公開のものが多く、月額980円という安さに見合った選択肢しかないのだが、そんな中から秀作発見するのは映画ファンにとっては一種の宝探しのような作業でもある