2012年8月16日木曜日

魚肉ソーセージの呪い



Fish Sausage Man











 

昔から魚肉ソーセージというものが苦手だった。かまぼこのような練りものなのに一見ウィンナーという、訳の分からない位置づけ。空腹であればそれなりに美味しいが、そうでない時は平凡すぎて見向きもしない。

しかも、どうやって開けろというのか。見よ、この取りつく島のない、厳しく完結したデザインを。どこにも開封口はなく、そこに導くヒントさえ見当たらない。これを給食に出された日には、どんなに育ちのいい子どもでも野生児のように丸ごと口にくわえこみ、先端を犬歯か奥歯に挟んでぎりぎりと捻じり切るしかなかった。この蛮行によって、私たちの歯の健康は大きく損なわれた(かもしれない)。


 


消費者団体からの強い批判を受け(たかもしれない)、いつの頃からか、先端近くに小さな開封用のテープが貼られるようになった。私は喜んだ。これでやっと魚肉ソーセージ開封という苦行から解放される。 

成人した私は、「奥歯ぎりぎり捻じり切り」による自己のイメージダウンを嫌い、もっぱらキッチンばさみを使用するようになっていた。中央の縦線を残して先端を切り、それを指に挟んでつつーっと下まで、いわばバナナの皮を剥くような要領で。

しかし現実はというと、この縦線は強靭な接合部であるからして、つつーっとは破れないばかりか、ひどい場合は中身まで巻き込み、ぐちゃぐちゃになったりぽっきり折れることもしばしば。最初からキッチンばさみですぱっと縦に切り込んだ方が早かった。「手軽なおやつ」にここまで手間暇をかけていいのだろうか、という疑問を残しつつ。

平成以降の新デザインによって、魚肉ソーセージは真の「手軽なおやつ」となり得るか。私は期待に胸を膨らませながら、小さな赤いテープをぐいと引っ張った。テープは簡単に取れた。

・・・・・・・・・
・・・で?

見るとテープの下には、小さな横の切り込みがあるばかり。この切り込みを、一体どうしろと?

しばらくしてから、私はよろよろとキッチンばさみを取りに行った。

p.s. 誰か魚肉ソーセージのいい開封方法を知っていたら教えてください。