2012年3月29日木曜日

わたしのマトカ by 片桐はいり




 











春だ!どこかに出かけたい!
 

ついこないだ信州に旅行したばかりだというのに、春の到来に浮かれてどうも落ち着かない。アクセサリーのアイディアが浮かぶと、それも早速作ってみたくなる。

しかしそんな自分を振り切り、100%集中しなければとても訳せないような案件が手元にある。出土した縄文時代の骨に関する資料。考古学的というよりも、どちらかというと解剖学的所見なので一応は引き受けたものの、かなりリサーチが要る。

せめて旅行気分だけでもと、昼休みに他人の旅行記を読んでいるのだけれど、中でも片桐はいりの『わたしのマトカ』と『グアテマラの弟 (幻冬舎文庫)は読みごたえがあった。

彼女が一度見たら忘れられない個性派女優であることは誰もが知っているが、優れたエッセイストでもあることはあまり知られていない。感受性の豊かさ、洞察力の鋭さ、そしてそれを簡潔かつ的確に表現できる文章力にさっぱりとした小気味よい性格があいまって、第一級の痛快エッセイに仕上がっている。

豊かな感受性をもってさっぱりと生きていくことは、彼女を見る限り可能のようだ。