昨日は朝のうちに納品を終え、お昼から休みを取ってh design worksさんと近所の公園でお花見をした。彼女の持ってきてくれたシートを敷いて、同じく彼女手製のおいしいお弁当をつつきながら(してもらってばっかり)、今年最初にして最後のお花見を満喫した。
公園は桜の見納めに訪れた近所の人々でいっぱいで、平日の昼間とあって圧倒的に女性と老人が多かった。突然歌い出したグループがあったが、決して酔っ払いではなく、あの美声からして、おそらくどこかの合唱サークルのようだった。
お花見の後は、公園のすぐ近くにできた新しいカフェ「Cafe Yours」でお茶をした。入り口からは想像しにくかったけれど、店内は広々として明るく、シンプル&エレガントなデザインで統一されていて、とても雰囲気がよかった。
4時過ぎにh design worksさんと別れた後は、あちらこちらの店を覗いたり、洋服を買ったりして、ルシ夫が帰ってくるまで楽しく過ごした。
いい一日だった&h design worksさんはつくづくいいオンナだなあ。
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Cafe Yoursの店内 |
h design works(インテリア・デザイン):
http://hdesignworks.sub.jp/
Cafe Yours:
大阪府枚方市楠葉並木2-28-15 大東くずはビル別館2F
072-380-9644
大阪駅前ビル、いわゆる第一~四ビルのあの怪しげな雰囲気が好きで、時々通っている。京都近くに嫁いでからは以前より遠く感じられるようになったが、それでも何かにつけて寄るようにしている。
一度上の階にオフィスがあるクライアントと仕事をした時は、打ち合わせ中も帰りの飲み食いのことばかり考えていた。今日はどの店にしよう?できれば一番ディープで、かつ当たりのところがいい。
毎日通うわけにはいかず、次またいつ来れるか分からないので、店の選定はいつも真剣勝負だ。失敗するのが嫌で、前回まあまあだったところにまた入ってしまうという弱気な態度はいけない。取るべき道はワイルド・サイド。
次はいつ行けるかな?
"Midnight Sing Song" By Brie Harrison
春だ!どこかに出かけたい!
ついこないだ信州に旅行したばかりだというのに、春の到来に浮かれてどうも落ち着かない。アクセサリーのアイディアが浮かぶと、それも早速作ってみたくなる。
しかしそんな自分を振り切り、100%集中しなければとても訳せないような案件が手元にある。出土した縄文時代の骨に関する資料。考古学的というよりも、どちらかというと解剖学的所見なので一応は引き受けたものの、かなりリサーチが要る。
せめて旅行気分だけでもと、昼休みに他人の旅行記を読んでいるのだけれど、中でも片桐はいりの『わたしのマトカ』と『グアテマラの弟』 (幻冬舎文庫)は読みごたえがあった。
彼女が一度見たら忘れられない個性派女優であることは誰もが知っているが、優れたエッセイストでもあることはあまり知られていない。感受性の豊かさ、洞察力の鋭さ、そしてそれを簡潔かつ的確に表現できる文章力にさっぱりとした小気味よい性格があいまって、第一級の痛快エッセイに仕上がっている。
豊かな感受性をもってさっぱりと生きていくことは、彼女を見る限り可能のようだ。
久しぶりに休暇を取ってささやかな旅行に出かけた。行先は地方の美術館と料理旅館(こういう宿泊施設のカテゴリーがあることを初めて知った)。帰りに雪の残る白川郷にも寄った。
地方の美術館のすばらしいところ、それは何と言っても人の少なさ。運がよければ、これに上質の展示内容が加わる(入館料が問題になることは少ない)。
今回訪れた愛知県豊田市美術館は、そのさらに上をいっていた。メイン、サブ、常設、室内および野外オブジェ、レストラン、ミュージアムショップ、すべてにおいてレベルが高く、はっきり言ってその辺の美術館の3倍は楽しめた。
こんなに楽しかったのは金沢21世紀美術館以来かもしれない。いい美術館で過ごす楽しくも静謐なひとときは、瞑想がうまくいっている時のようだ。
写真はミュージアムショップで買ったオモシログッズ。プラスチック袋の中に水をそそぐと花瓶になる。色違いで2枚入り。
朝8時からみっちり仕事をすると、夕方になる前に頭が使いものにならなくなる。それをいいことに、さっさと机を離れ、買い物袋を手にシマの巡回へ。まだまだ外は明るく、近所の人々が惚けたような表情で歩いている。さて、今日は何を買おうか。
自分のシマは一応静かな住宅街にあるが、もとは旧京街道に続く由緒ある商店街とあって、何歩も行かないうちにスーパー、花屋、パン屋、肉屋、豆腐屋、布団屋、床屋、薬屋、喫茶店、たこ焼き屋などが軒を連ねている。道路をわたった先にはわりと本格的な園芸屋もあり、いつかリヤカー持参でごっそり買いつけるのが夢だ。
他に気に入っているのがパン屋と花屋で、スーパーの食料品に加え、まだ温かいパンを丸ごと1本(3斤)と季節の花々で両手をいっぱいにして家に戻ると、いかにも収穫あったという気がして心もいっぱいになる。
そんなふうにして、こないだ花屋で収穫物を探していたら、ふとデジャブにとらわれた。小さい頃も同じようなことをやっていたな。学校帰りに友達と、駄菓子屋で、本屋で、文房具屋で。
あの頃の自分と今の自分、まったく変わっていない気もするし、完全に別人のような気もする。これまで色んなことがあったが、すべて一瞬にして起こったのではないかと思える時がある。
なんだかんだ言いつつ、翻訳にかかわり続けて20年以上になる。どんな仕事であろうと、長年続ければそれなりの職業病にかかるもの(もちろんそうじゃない人もいる)。
自分の場合は、「すぐに文字に目がいく」「どうでもいい文をチェックする」「人の文章や言葉遣いまで気になる」「とにかく理屈っぽい」といった厄介な症状があり、うかうかしていられない。最近では用語を厳選してしゃべろうとするあまり、会話の途中で言いよどんだり黙り込んだりすることが増え、挙動不審に見られないよう必死に取り繕う始末だ。
先日、ビリー・ジョエルの名盤『ナイロン・カーテン』の中の「アレンタウン」を聴きながら、ビリー自身のコメント訳を読んでいたら、「仕事の最中にモンキーレンチを放り投げる者もいた」というところで「ん?」となった。
戦後の希望の象徴であった工業都市アレンタウンの盛衰について見解を述べているところなのだけれど、「僕らには希望がある。かといって、僕らの両親が戦争の後に抱いていた、例の無限で広大な未来展望を描いているわけでもない」ときて、いきなり「仕事の最中に…」という一文が入り、さらに「そして、突然、僕たちは天然資源を使い果たし…」と続く。
昔なら確実に読み飛ばしていたが、職業病にかかった今の自分はこういう時、原文をチェックせずにはおれない。
原文は、「There's been a monkey wrench thrown in the works」。「monkey wrench」は「だめにするもの」、「in the works」は「途中で」という意味があるので、「途中でだめになった」という感じの訳になるはずなのだが・・・。
そこでふと我に返る。自分は一体何をしているのだ?仕事の合間のコーヒーブレイクにちょっとビリーの曲を聴いていたのではなかったか?
休憩中に余計に頭を使い、仕事に戻った一訳者のかなしき日常。