2012年8月31日金曜日

KISSの『ベス』にみる男女のすれ違い






















ヘヴィメタルやハードロック・グループのアルバムにはバラードの名曲が入っていることが多い。KISSの『ベス』もそんな一曲。 

こないだpodcastで70年代ロックを選んだら、「やあ、これはクラシック・ロックのチャンネルだよ!」というMCの後にこの曲がかかり、久々に聴いた。そうか、70年代ロックはもはやクラシックなのか。

* * * *
 

Beth by KISS

Beth, I hear you callin'
But I can't come home right now
Me and the boys are playin'
And we just can't find the sound


Just a few more hours
And I'll be right home to you
I think I hear them callin'
Oh, Beth what can I do
Beth what can I do


You say you feel so empty
That our house just ain't a home

And I'm always somewhere else
And you're always there alone


Just a few more hours
And I'll be right home to you
I think I hear them callin'
Oh, Beth what can I do
Beth what can I do


Beth, I know you're lonely
And I hope you'll be alright
'Cause me and the boys will be playin'
All night


ベス、また君から電話がかかってきた
でもまだうちには帰れないよ
こっちは曲づくりの真っ最中で、
しかもなかなかまとまらないんだ


あと数時間きっと帰るから
ああ、連中が呼んでいる
ベス、俺はどうすりゃいい?
一体どうすりゃいいんだ?


虚しいのと君は言う 
うちは家庭らしくないからと
俺はいつも出かけていて
君はいつも家にひとりぼっち
 

あと数時間できっと帰るから
ああ、連中が呼んでいる
ベス、俺はどうすりゃいい?
一体どうすりゃいいんだ?


ベス、君が寂しいのはわかっている
頼むから機嫌よくしていてくれ
だって俺たちはどうせまた

一晩中演るだろうから
 

* * * *
 

曲調も切ないが、男女の典型的なすれ違いを歌い上げた内容も切ない。女からすると、最後のフレーズは男の勝手さを実によく表しているように思える。

そういや、Freeの『Woman』という曲でも、「俺のもの、全てお前にやろう。ギター以外はね。あと、クルマも」というくだりがあるが、曲調がハードボイルドでかっこいいだけに、いつもここを聴くたび、なんじゃそりゃ、とちょっと笑ってしまう。もう、男ってやつは!

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2012年8月25日土曜日

フランクルの『夜と霧』






















先日、たまたまNHKの番組(100分de名著:Eテレ毎週水曜日11:00~11:25)で高名な精神医フランクルのベストセラー、『夜と霧』が取り上げられていたので、思わず見入った。

この本はかなり昔、いわゆる「アウシュビッツもの」を読むのが辛すぎてダメだった時期に、一度手に取りながらも書棚に戻した記憶がある。

でも今回はぴんと来たので、即座にアマゾンに注文した。数日後、ちょうどそれを読み終わる頃には、ルシ夫が申し合わせたように同番組のテキストを買ってきた。

そんなわけで、ここ最近はフランクルの思想にどっぷり浸かっている。

『心理学者、強制収容所を体験する Ein Psycholog Erlebt das Konzentrationslager 』という原題のこの本は、ナチス収容所での体験を内側から見た貴重なドキュメンタリーだが、その内容は決して専門的、あるいはジャーナリスティックなものではない。

「言語を絶する感動」と評され、新訳者をして「そこにうねる崇高とも言うべき思念の高潮に持ち上げられ、人間性の未聞の高みを垣間見た思いがした」と言わしめたように、テーマは普遍的である。人間の偉大と悲惨をあますところなく描きながら、読後に一生分の希望をもたらす。

こんないい本に出会えて、今年はなんていい年なんだ(どうりで色々と悩み深いと思った)。しかもまだあと4か月も残っている。ちなみに、「100分de名著」のフランクル特集もまだあと1回残っている↓ 

NHK「100分de名著」8月の名著:
http://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/14_frankl/index.html#box04

2012年8月16日木曜日

魚肉ソーセージの呪い



Fish Sausage Man











 





昔から魚肉ソーセージというものが苦手だった。かまぼこのような練りものなのに一見ウィンナーという、訳の分からない位置づけ。空腹であればそれなりに美味しいが、そうでない時は平凡すぎて見向きもしない。 

しかも、どうやって開けろというのか。見よ、この取りつく島のない、厳しく完結したデザインを。どこにも開封口はなく、そこに導くヒントさえ見当たらない。これを給食に出された日には、どんなに育ちのいい子どもでも野生児のように丸ごと口にくわえこみ、先端を犬歯か奥歯に挟んでぎりぎりと捻じり切るしかなかった。この蛮行によって、私たちの歯の健康は大きく損なわれた(かもしれない)。


 


消費者団体からの強い批判を受け(たかもしれない)、いつの頃からか、先端近くに小さな開封用のテープが貼られるようになった。私は喜んだ。これでやっと魚肉ソーセージ開封という苦行から解放される。 

成人した私は、「奥歯ぎりぎり捻じり切り」による自己のイメージダウンを嫌い、もっぱらキッチンばさみを使用するようになっていた。中央の縦線を残して先端を切り、それを指に挟んでつつーっと下まで、いわばバナナの皮を剥くような要領で。

もとはと言えば、この縦線が問題なのだ。この強靭な接合部は、素手では決して破れないばかりか、ひどい場合は中身まで巻き込み、ぐちゃぐちゃになったりぽっきり折れることもしばしば。最初からキッチンばさみですぱっと縦に切り込んだ方が早いのだ。ただ、「手軽なおやつ」にここまで手間暇をかけていいのだろうか、という疑問が罪悪感となり、心をじわじわと蝕んでいく。

平成以降の新デザインによって、魚肉ソーセージは真の「手軽なおやつ」となり得るか。私は期待に胸を膨らませながら、小さな赤いテープをぐいと引っ張った。テープは簡単に取れた。

・・・・・・・・・
・・・で?

見るとテープの下には、小さな横の切り込みがあるばかり。この切り込みを、一体どうしろと?

しばらくしてから、私はよろよろとキッチンばさみを取りに行った。

p.s. 誰か魚肉ソーセージのいい開封方法を知っていたら教えてください。

2012年7月28日土曜日

チェブラーシカとKATAGAMI Style展




















 


少し前になるが、滋賀県立近代美術館で開催中の『チェブラーシカとロシア・アニメーションの作家たち』を観た。特にチェブラーシカ・ファンというわけではなく、どちらかというとこの美術館や周辺の公園、茶室、図書館が好きで時々通っているからなのだけれど、ロシア人のチェブ愛の深さやアニメにかける情熱を知る、いい機会となった。

チェブラーシカのアニメ版を撮ったロマン・カチャーノフ監督によれば、チェブラーシカは友好のシンボル、いわば「仲良し大使」なのだそうだ。また、チェブラーシカの意味は、「ぐらぐらしていてすぐに倒れる人」。英語の"topple"(ぐらつく)に相当することから、当初英語版では「Topple」という名前だったらしい。

今週はプロジェクトを一つ成功させて晴々した表情のh design worksさんと、京都国立近代美術館で開催中の『KATAGAMI Style:世界が恋した日本のデザイン』を観た。優れたデザインから受けるインパクトに加え、インテリア・デザイナーとしての彼女の専門的視点はとてもためになった。

あまりの暑さに鑑賞後は二人でカフェに駆け込み、貪るようにかき氷を食べた。ランチに連れて行ってもらった岡崎公園近くのオステリア・オギノのアイスコーヒーも絶品だったなあ。

『チェブラーシカとロシア・アニメーションの作家たち』@滋賀県立近代美術館: http://www.shiga-kinbi.jp/?p=16168

『KATAGAMI Style』@京都国立近代美術館:
http://katagami.exhn.jp/outline/index2.html

2012年7月5日木曜日

優雅な生活が最高の復讐である















 


最近の自分のドタバタは、優雅な生活とは程遠い。親からは、「何事もほどほどにしておきなさい」と口を酸っぱくして言われている。朝はできるかぎり早くから、晩は目を開けていられなくなるぎりぎりまで、とにかく起きていたいのだ。やりたいことがあるから。

優雅ではないが、これが自分なりのliving wellなのかもしれない、"living life to the fullest(最もフルに生きる=精一杯生きる)"って言うしね、などとひとりごちてみる。

なぜ優雅さにこだわるかというと、愛読書の一つに『優雅な生活が最高の復讐である(C・トムキンズ著、新潮文庫)』というタイトルの本があり、これがいつのまにか座右の銘のようになっているためである。

背表紙には、「あのフィッツジェラルドが憧れ、『夜はやさし』のモデルにしたという画家ジェラルドとセーラのマーフィー夫妻。1920~30年代の文化人たちの群像を浮き彫りにしたノンフィクションの名著(一部略)」と書かれている。フィッツジェラルドとは、もちろんあの『華麗なるギャツビー』の作者のことだ。

芸術に造詣が深く、人柄やウィットにも恵まれた上流階級者マーフィー夫妻は、フランスでそれは優雅な生活を送っていた。しかし後半、ドル大暴落後の長い不況時代に突入するや否や、次々と不幸が降りかかる。子供も、3人のうち2人までも短期間のうちに亡くしてしまう。

しかし、マーフィー夫妻はめげなかった。「夢の家の屋根が美しい居間に崩れ落ちてきたとき、最高に勇敢だった」。

復讐とは、おそらくこの過酷な人生への復讐を意味するのだろうが、優雅に生きることでなされる復讐は、苦しい時ほどインパクトが大きいということを本書から学んだ。忙しい時、焦り不安な時なども同様かと思う。


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2012年6月14日木曜日

Muse Antiques



 

先月末、自宅から歩いて10分ほどの大通りに素敵なアンティーク・ショップがオープンした。それだけでも十分いい話なのだけれど、自分にとってはさらに喜ばしいことに、ここでKAKiのアクセサリーを販売してもらえることになった。


店内の様子


魅力的な家具やインテリアが並ぶ
 

たまたま前を通りかかって中に入り、美しいマダムの説明を聞いていたら、あれよあれよという間に話がまとまったという、まるで奇跡のような展開。その夜、「KAKiの作品を置いてくれる店がもう一つ見つかりますように」と書いて貼っていた紙切れを外した(こういう紙切れがあと3枚机の前に貼ってある)。


用意してくださったスペース


それで早速作品を持っていくと、マダムのご主人をご紹介いただき、和気あいあいとした雰囲気の中で展示や販売方法などについて話せた。

気さくでおしゃれな金銅(こんどう)ご夫妻。店に置いてあるアンティーク家具や小物は、どれも上質なのに驚くほど良心的な値がついている。自分もイギリス製のアンティーク・レースを買い、自宅のリビングに飾った。これからが楽しみだ。
 

Muse Antiques:
大阪府枚方市楠葉朝日2-12-5
Tel: 072-850-9203
http://www.muse-ant.com

2012年6月3日日曜日

Classic FM




















翻訳する時以外、部屋にいる間は大体ラジオでクラシックを聴いている。お気に入りのステーションは、iPhoneアプリの英国「Classic FM」。選曲が好みなのもあるが、解説や途中のニュース、CMを聴いて、英語のヒアリング力を維持したいという下心もある。

時差のせいで、こちらがそろそろリラックスする頃に「それでは今日も元気よく一日を始めましょー♪」と威勢のいいマーチなんかがかかるのが少々難だが、全体的にイージー・リスニングなのであまり問題にならない(リスナーにお年寄りが多いせいか)。女王関連イベントのニュースが多いのもお国柄である。

このClassic FM、最近やたらと日産とホンダとレクサスとタキヤのCMが入るのだが、これはたまたまなのだろうか?英国のクラシック音楽愛好家には日本製品びいきが多いなんて話、聞いたことないが、そういう関連付けをしたくなるほど日本製品が宣伝されるのが不思議だ。

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