2011年11月8日火曜日

本とカフェ Benedetta



この地に移り住んで、今で4年と4か月になる。越してきた当初から通い続けているのが、近所のブック・カフェ、Benedetta(ベネデッタ)。

同年代と思われる女性店主が一人で経営しているのだけれど、この人の焼くケーキやクッキーは独特の味がする。何というか、硬さや尖ったところがまったくない。有名なパティシエのケーキを口にすると、時々ガラスのような、冷たく鋭い刺激を受けることがあるけど、ここのはそれの対極という感じ。

置いてある本や店構えも同様で、すべてにおいて「ぬるい」。

通い始めた当初は、他の客を見かけることがなかった。店主さんも動きがぎこちなく、カウンターの向こうでよく色んなものを落としていた。訊けば、私が越してきた月に店を始めたばかりだという。大きな窓の向こうを眺めながらお茶を飲んでいると、後ろから焼きたてのクッキーやケーキやお茶のお代わりをおずおずと差し出してくれた。これじゃあ、とてももうからない。

案の定、しばらくすると「出稼ぎに行っています」という貼り紙とともに、店が閉まりがちになった。 私は何となく、自分がただで飲み食いしたせいではないかという気がした。

1年ほど前、店は突然復活した。店主はひと回り痩せていたが、目の奥にたくましい光を宿していた。

最近のBenedettaは、いつ行っても大抵先客がいるか、しばらくすると一人客がひっそりと入ってくる。隅で静かに勉強している学生らしき客もいる。

今度、晩にジャズ・ギターのライブをやるというので、申し込んでみた。

本とカフェ Benedetta:
http://09098605427.0843.jp/
http://ameblo.jp/benedetta203/