2011年11月22日火曜日

中年考

























「中年化」とは、「頑固になること」だと思っている。

脳細胞の死滅や身体機能の低下はとうの昔に始まったことなので、今さら急に騒ぎ立てるものでもない。問題は、本人の意志による中年化である。

頭の中をコンピューター・システムに例えてみる。今から数年前、一まわり以上年下の青年たちと机を並べ、全身の血管やら筋やら神経なんかに関する情報を必死で頭に詰め込む日々を送っていた。

この時、彼らと私とでは頭の中の動きが違っていたはずだ。彼らの脳内では、驚異的なスピードで新しいデータががんがん取り込まれている。容量はほぼ無制限、集中力が続く限り作業は可能である。取り込んだデータを即座にフォルダに振り分ける几帳面な子も入れば、めったやたらに詰め込んで、後で取り出すのに苦労する子もいる。

一方、こちらの頭の中にはこれまでに作成したフォルダが数多く存在する。新たな情報の認識は、これらの既存フォルダとの関連付けで済むので、データの取り込みは積極的に行われない。

どちらの方法にも一長一短があるが、中年のやり方は労が少ない分、すぐに効果が失われる。忘れっぽいのもそのせいかもしれない。

とはいえ、過去の(特に手痛い)経験を通じて何度も関連付けされたリンクは、おそろしく強固なものになっている。一旦そうなれば、今度はむしろ解除したり修正したりする方が難しくなる。本人も苦労して作り上げたという気があるから、そう簡単には手放さない。

そういう太いリンクはよく目立つし便利なので、その後もしょっちゅう使われる→思考や行動のパターン化へ。

よくあることだ。さて中年。

Inside My Head by Jim Carrington Published by Bloomsbury