2011年11月24日木曜日

ヒアアフター








 









夕食後にクリント・イーストウッド監督の『ヒアアフター』をiTunesでダウンロードして観た。

去る3月に前売り券まで買って楽しみにしていたら、封切直前に東北大震災が起こり、冒頭の津波のシーンが問題となって日本での上映が取り止めになったという、いわくつきの作品だ。

「ヒアアフター」とは、映画の中では「来世」と訳されているけれど、直訳すれば「これ以降」「ここから先」という意味。契約書なんかで名称を短縮する時、「Hereafter, XXX(以下、○○とする)」というふうに用いることが多い。

問題の津波のシーンも、しっかり見届けた。が、そのリアルさゆえに自分のような非被災者でさえ、気持ちが動揺せずにはいられなかった。身近な人々を襲った大きな災難。どうしても重なってみえる。

映画の出来自体については、やや焦点がぼやけているものの、「死後の世界」という色々な意味で難しいテーマを静かなトーンで、SFやオカルトとしてではなく日常的なものとして描き切ったところが評価できる。

「死後の世界があるかどうか、真実は誰にも分からない。ただ、人は誰しも与えられた人生を精一杯生きるべきだ、と私は常に信じている」とはイーストウッドの弁。超メジャーなハリウッド監督が映画界で長年タブーとされてきた「スピリチュアルもの」に正面から挑むことで、『奇跡の輝き』などの不発感拭えぬこの分野に新たな風穴を開けようとする試みか。

今後同類の映画が増えると予想される。